雑学研究

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ラテン文学

80B.C. 〜 31B.C.

黄金時代前期(キケロ時代)
マルクス・トゥリウス・キケロ Marcus Tullius Cicero (106-43B.C.)
 騎士階級出身で、ローマで文学・弁論術・哲学を学んだ。 思想ではプラトンの流れをくむ新アカデミーアの影響を、 論風では純ギリシア的なアッティカ風の影響を受けた。
 演説には、父親殺しのロスキウスを弁護した『ロスキウス・アメリーヌス弁護』Pro Roscio Amerino、 ウェッレースの無謀な搾取を告発した『ウェッレースを訴う』In Verrem、 毒殺未遂のクルエンティウスを弁護した『クルエンティウス弁護』Pro Cluentio、 カテリーナの暴動の陰謀を暴露した『カテリーナ弾劾』In Catilinam、 ローマ市民権を持っていないと告訴されたアルキアースを弁護する『アルキアース弁護』Pro Archia、 元老院でアントニウスを弾劾した『ピリッピカ』Philippicaなどがある。
 対話人物の1人に作者の意見を代弁させる「対話篇」Dialogiでは、 キケロの一時代前の弁論家が弁論家の必要とする素養について山荘で論じる『弁論家について』De Oratre、 共和制ローマの究極的な理想国家を論じる『国家論』De Re Publica、 ギリシア・ローマの弁論術史について語る『ブルートゥス』Brutusなどがある。
 宗教関連では、 後世のキリスト教神学に影響を与えた『神々の本質について』De Natura Derum、 予言の的中を偶然だとする『占卜について』De Divinatione、 自由意思を論じた『宿命について』De Fatoがある。
 その他の著作では、 生きる為に哲学を学ぶ必要性を説いた『アポロニウスに送る慰籍』Consolatio ad Apollonium および『ホルテンシウス』Hortensius、 新アカデミーア学派の哲学を紹介した『アカデミーカ』Academica、 人間の究極的目的の至上善 summum bonumを論じた『至善至悪論』De Finibus Bonorum et Malorum、 肉体的苦痛が悪でなく、知恵とは忍苦と死の蔑視であり、賢者とは心の同様に乱されない者で、 美徳こそ至福への道であると説く『トゥスクルム哲学論議』Tusculanae Disputationes、 美徳(知恵、正義、勇気、節制)と実益の一致を説く『義務について』De Officiisなどを書いた。
 書簡集では、 『友人宛て書簡集』Epistulae ad Familiares 16巻、 『アッティクス宛て書簡集』Epistulae ad Atticum 16巻、 『ブルートゥス書簡集』Epistulae ad Brutum 2巻など、 総数864通(うち90通はキケロ宛て)が現存している。

マルクス・テレンティウス・ワッロー Marcus Terentius Varro (116-27B.C.)
 文学、哲学、歴史、宗教、博物全般に通じ、多作家で600巻を越えるが、 現存するのは『農事について』De Re Rusticaと『ラテン語論』De Lingua Latinaの一部の9巻しかない。
 代表作は『人事・神事に関する故事考証』Antiquitates Rerum Humanarum et Divinarum 41巻だが、現存しない。

ガイユス・ユリウス・カエサル Gaius Iulius Caesar (102-44B.C.)
 ジュリアス・シーザー(英語読み)は軍人・政治家としてだけでなく、散文家としても活躍した。 だが、『ヘルクレス讃美』Laudes Herculis、『オイディプス』Oedipus、 『類推論』De Analogia、『占卜書』Auguralia、『天体について』De Astris、 『金言集』Apophthegmataなどは散佚し、 現存するのは、7回のガリア遠征を記した『ガリア戦記』Commentarii de Bello Gallico、 ポンペイユスとの戦いを記した『内乱記』Commentarii de Bello Civiliのみである。

ガイユス・サルスティウス・クリミスプス Gaius Sallustius Crispus (86-25B.C.)
 カテリーナの陰謀を冷静に記した『カテリーナの陰謀について』De Catilinae Coniuratione、 ヌミディア王ユグルタ討伐のローマ軍遠征を描いた『ユグルタ戦争について』De Bello Iugurthino が現存している。

ティトゥス・ルクレティウス・カールス Titus Lucretius Carus (99-55B.C.)
 『物の本質について』De Rerum Naturaは、エピクロスの原子論的唯物論の世界観を述べたもので、 近代の科学的宇宙観に影響を与えた。

ガイユス・ワレリウス・カトゥルス Gaius Valerius Catullus (84-54B.C.)
 恋愛、諷刺、諧謔、旅、交友などの詩、 神話を元にした長編詩『アッティス』Attis、 カリマコス Callimachusの詩の翻訳の『ベレニーケーの髪』Coma Berenicesを残した。